法雨心荷 清淨本然

ホーム中国観光中国仏教買物案内役立情報中国養生お問い合わせ会社案内

 

養生訓

 

 

巻第三  飲食 上

 

1 元気は生命のもと、飲食はその養い

    人とは、天と地から生まれてきた。しかし、人が元気に生きていくには飲食により養分を毎日とらなければいけない。たとえ、半日でも飲食をぬかすことはよくない。

でも、飲食とは欲望の一つである。欲望のおもむくままに飲食を続けることは、胃腸によくない。度を過ぎれば、生命にもかかわることである。

胃腸から取り込まれた養分が、身体を養っている。草木が土のなかの栄養を取り込み生きているのと同じ事である。養生の道とは、胃腸を整えることが第一である。

 

2 病いは口から

    人は毎日のように食事をする。食事とは楽しいものであるが、度をすぎるほど取りすぎることはよくない。口から出し入れするものには、注意が必要ある。

 

3 聖人の飲食

    聖人の飲食の法とは養生の要点である。

 

4 熱飲、冷飲をさける

    ご飯はよく火を通し中まで柔らかくなったものがいい。堅いものや粘っこいものはよくない。そして温かいうちに食べるのがいい。吸い物も熱いうちがよい。

酒は夏でも温めて飲むのがいい。冷酒は体によくない。冬は熱燗がよくない。気が上ってよくないからである。

 

5 飯のたき方

    ご飯の炊きかたにも、いろいろある。健康な人には普通に炊く。胃痙攣をおこしている人には、たいたご飯に湯を入れて二度炊きするのがいい。胃腸の弱い人には、水を多めにして炊くのがいい。粘っこいのは気をふさぐのでよくない。堅いのは消化しにくいのでよくない。新米は米の気が強く、体が弱っている人にはよくない。早稲(早く成熟する稲)は、病人にはよくない。奥稲(おそく成熟する稲?)は性分が軽いのでよい。

 

6 淡薄なものを食べる

    すべての食事はあっさりしたうす味のものがよい。濃い味や脂っこいものをたくさん食べてはいけない。生もの、冷えたもの、堅いものは禁物である。吸物は一椀、肉料理は一品、副食は一、二品にとどめる。

肉はたくさん食べてはいけない。生肉は続けて食べてはいけない。吸物に肉を入れたときは、副食に肉類をいれないほうがいい。

 

7 飲食はひかえめに

 

飲食は人が生きていくために必要なものである。でも必要以上にむさぼってはいけない。食欲を抑えることも必要である。

食べ過ぎてしまい、そのために胃腸薬を服用すると、胃の本来の働きが弱くなってしまう。

食欲を抑えるには、精神力が必要だ。病気になることを怖れることを忘れないようにしなければいけない。

 

8 満腹をさける

 

おいしいものであっても、たくさん食べてはいけない。少しだけ食べても、たくさん食べても、そのおいしさを堪能するという点ではあまり変わらないからである。

おいしいと言ってたくさん食べると、健康を損ない後で苦しむことになる。それゆえに、はじめから節度をもって食事を取ることを心がけなければいけない。腹八分目がいいのである。

 

9 五味偏勝をさける

 

五味偏勝というのは、同じ味のものを食べ過ぎることをいう。

甘いものを続けて食べると、腹が張ってしまい痛む。

辛いものを食べ過ぎると、血が上り、湿疹ができ、眼も悪くする。

塩辛いものを多く取ると、血がかわき、喉か渇き、湯水を多く飲むようになり、湿疹ができ、胃腸を弱めてしまう。

苦いものを多く取ると、胃腸の調子を狂わす。

それゆえに、いろんな味をまんべんなく食べることが病気にかからないこつである。

 

10 食物の選択

 

食物とは、身体を養うものである。それゆえに、たとえおいしいものでも、体に害があるものは食べてはいけない。体を温めるものは良く、体を冷やすものは良くない。生ものや辛いもの、ひどく熱いものも良くない。

 

11 飯の多食は不可

  ご飯は人に力を、よく与えてくれる。と、同時に害もある。ご飯は消化しにくいので、たくさん食べると胃腸に負担がかかる。ほかのものを多く食べ過ぎるよりも、よくない。

よその家に行き、ご飯を食べさせてもらうときでも、言われるままにたくさん食べることをさけ、少しずつ食べるようにすると、相手方にも悪い印象を与えなくてすむ。

ご飯をいつもと同じくらいにしても、ほかのものをたくさん食べると健康には悪い。ご飯を食べた後、茶菓子やもち、麺類を食べると胃腸に負担がかかる。

もし、食後のあとになにか食べることがあるときは、最初のご飯を少量にすべきである。

12 口腹の欲をおさえる

 

食事のことばかり気にかけている人は卑しい人である。小さなことを大事にして大きなことを大事にしないことと同じであろうから。

食い意地ばかりはっていると、病気にもなるし、酒乱ともなると卑しさ大爆発といったところです。

 

13 夜食の法

   夜に食事をとる人は、なるべく夜の早い時間にとるのがいい。そうしないと、寝るまでに消化しきれない。夜に食事をしない人も、食事のあとすぐに寝るのはよくない。腹が減っても、夜は仕事をするときではないから、害はないであろう。酒も同じで、夜は飲まないのがいい。飲むとしても早い時間に少しだけ飲むのがいいだろう。と、いっても現代は夜の生活も重要であるから、重々気をつける方がいいだろう。

 

14 食と栄養と

   食事を制限しすぎると、栄養不足になると言う人がいる。しかし食事は人の欲望であるから少しくらい制限しすぎるほうが、いいのである。

 

15 適量を守る

   好きな食事が出てきたとき、または空腹時においしく珍しい食事が出てきたとき、または種類多くの品数の料理が出てきても、食欲に負け度を越すほど食べないよう、心がけなければいけない。

 

16 腹七、八分の飲食

   食べ物を見ると人は食欲がわく。それで、つい食べ過ぎてしまうものだ。腹七、八分くらいで食事を抑えておいても、しばらくすれば腹は十分になる。腹いっぱい食べると、あとで腹が張り病気になる。

 

17 過酒食

 

食べ過ぎたり酒を飲む過ぎてしまったときに、薬を用いて消化を助けるという行為は、味方の犠牲をいとわない戦いをしないと勝利できない戦争の状況であるといえる。胃腸がその戦場であるということは、胃腸にとってつらいものである。それゆえに胃腸の戦場を持ち込まないためにも、薬を飲まなければいけない状況をつくらないように心がけなければいけない。

 

18 五思

    食事をするときに考えなければいけないことが5つある。

    一つは、誰から食事を与えられているかである。父や上司、兄弟や親類、あるいは他人から与えられているかもしれない。それらの人には感謝の気持ちを忘れてはいけない。自力で食物を得ているものも、自分のすんでいる国にたいして恩を忘れてはいけない。

    二つは、食物は農民が作り出してくれたことを感謝しないといけない。自分で食物を作り出していないものは、特にそうである。

    三つは、自分がなにも貢献をしていないときに食事を取ることがあるときは、とても幸福であることを忘れてはいけない。

    四つは、自分の食事よりも貧しい食事をしている人がいることを忘れてはいけない。自分が餓死しないで生きていることを感謝しないといけない。

    五つは、昔の人は米、麦、粟、豆、黍を食べることができないために草木の実や根や葉を食べていたのに、今ではそれらを食べることができることを感謝しないといけない。また、火を使い温かい食事をとれることも感謝しないといけない。味もよく、胃腸にもやさしい食事がとれることも感謝しないといけない。(なんか、すごく古い時代の話です。)

    今の時代はとてもいいものである。これらの五つのうち、二つくらいでいいから、食事をするときは思い出してほしいものである。

 

19 夕食は軽く

    夕食は朝食より消化しにくいものである。だから夕食は少なめにするほうがいい。味もあっさりしたもので、副食品も多いのはいけない。

魚や鳥など味がこく、脂肪が多いものは夕食に悪い。菜類、山芋、人参、白菜、芋、くわい(オモダカ科の水生多年草、水田で栽培をし地下の球根を食べる。冬から春にかけて収穫できる。)などは、胃腸によくないから夕食に多く食べてはいけない。食べなければ、そのほうがいい。

 

20 食べてはいけない食物

    すえた臭いのするご飯、古い魚、ふやけた肉、色香のよくないもの、よくない臭いのするもの、煮てから長い時間がたったものは食べてはいけない。また間食はよくない。早すぎて熟していないもの、成熟していないものの根を掘り出して食べることや、時期がすぎて盛りを失ったものは、いわゆる時ならぬものであるから食べてはいけない。聖人といわれる人は、このようなものを決して食べなかった。食事はご飯を中心にして、ご飯以外のものをご飯以上に食べることは体によくない。

 

21 副食は少なめに

    飲食のうちで、ご飯を十分に食べないと飢えはいやせない。吸物はご飯を食べやすくするだけである。肉は少しだけで十分である。少しの量で食欲を刺激するくらいでいい。野菜は穀物や肉類ではとれない栄養分を補い消化を助ける。すべての食品にはすべて意味があるものだ。しかし、食べ過ぎはよくない。

 

22 穀物と肉類

    人というのは、元気というものをもって成り立っている。元気は、穀物の栄養分によって生まれる。穀物や肉類によって元気をつくりだしているのである。でも多食して元気をなくしてはいけない。元気が穀物に勝てば長生きできる。

 

23 飲食の量

     胃腸の弱い人、特に老人は食事により病気になりやすい。おいしい料理が出てきても、我慢することが大事である。度をすぎた食事をしてはいけない。食欲に勝てないのなら、勝てるように精神力を鍛えなければいけない。

 

24 宴の飲食もひかえめに

    友人たちと会食すると、ついおいしいものを食べ過ぎることがある。食べ過ぎてしまうことは、健康のうえではよくないことである。「花は半開に見、酒は微酔にのむ」といわれる言葉があるがこれを実行するのがよい。欲望のまま過ごすことは不幸のもとになる。楽しみの絶頂は悲劇のもとになることが多い。

 

25 持病と食べもの

     食品により体に害があるものはすべてメモを取っておき、その食品は二度と食べないようにする。 時間がたってから害を及ぼすものもあるが、これも食べてはいけない。

 

26 食当たりと絶食

 

食中りをおこしたときは、絶食をするのがよい。あるいは、食べる量を半分または3分の2に減らすとよい。

食べ過ぎた場合は、すぐに入浴するとよい。

魚や鳥の肉、魚や鳥の干物、生野菜、油っこいもの、ねばっこいもの、堅いもの、もちやだんご、そして菓子類などを食べてはいけない。

 

27 消化不良と朝食ぬき

 

朝食が十分に消化しないうちに昼食をとってはいけない。茶菓子なども食べてはいけない。昼食が消化しないうちに夜食をとってはいけない。昨夜食べたものが消化しきらないときは、朝食は抜かせばよい。もしくは半分にするか、酒や肉類をとらなければいい。

食中りをおこしたときは、まず絶食がいい。軽い食中りなら、薬を飲まなくても治るであろう。

養生の術を知らない人は食中りになっても粘っこい米湯などを摂取することがあるが、体に害になるからとってはいけない。食中りの人は、二三日絶食しても、それほど害にはなることはない。(ただし水気を完全に断つのはよくない。)顔が食中りで膨れているからである。(あまり関係ないかもしれない。)

 

28 煮ものの味

   煮すぎたものや!"

蒸した魚は時間が長くなっても味を失わない。魚を多くの水で煮ると味をなくしてしまう。

 

29 調味料のこと

   聖人は食にあった醤(もろみのことではない。塩辛・佃煮のことかも?)がないと召し上がらなかったという。醤とは調味料のことである。

具体的に例をあげると塩、酒、醤油、酢、蓼(「だて」、イヌタデ・ハナタデ・ヤナギタデなどの植物の総称、辛みのある食用の植物のこと)、生姜、わさび、胡椒、芥子、山椒などそれぞれの食物にあう調味料がある。これを食物の中にいれるのは、味を調えるばかりでなく食物のなかの毒素を制するためでもある。

 

30 中年と食事

   食欲は朝夕におこる。貧乏な人でも食欲を自制するのを失敗することがある。まして裕福な人はなおさらである。注意しなければいけない。中年をすぎると、元気が減ってくる。男女の色欲は次第に弱まるが、食欲はなかなか弱くならない。老人は内臓が弱い。そのために胃腸を痛めることが多い。老人が急死するのは食中りの場合が多い。(現在でもそうなのだろうか?調べていないので分かりません。)食事には注意が必要である。

 

31 新鮮な食物

   すべての食物は、みな新鮮な生気のあるものを食べるのがよい。古くなって香りがわるく、色つや、味の変わったものは体によくない。食べてはいけない。

 

32 好物を少量とる

   好きな食べ物は、体が欲している。食べると、身体の足りない部分を補ってくれる。でも好きだからと言ってたくさん食べると、害になる。嫌いなものを少し食べることよりも、よくない。好きなものは少しだけ食べることがいいのである。

 

33 五つの好み

   清らかで新しいもの、香りがよいもの、もろくてやわらかいもの、味のかるいもの、もともといいもの、の五つは好んで食べるのがよい。益こそあれ害はない。これに反するものは食べてはいけない。

 

34 虚弱者と栄養

 

病弱な人は、魚鳥の肉を味よくして少しずつ食べるのがよい。薬用人参よりもいい。いきのいい、生魚をよく煮て又はあぶって食べるのがいい。

塩につけたものは一両日すぎたものがもっともよい。生魚を味噌でつけたものを煮たりしたものもよい。暑い夏は長くもたないので用心しないといけない。

 

35 胃腸の弱いひとと生魚

 

胃腸の弱い人は、生魚をあぶって食べるのがよい。煮たものをより消化がよい。小さなものは煮て食べるのがよい。大きな魚はあぶって食べるか、古くなった酒に鰹節、煎り塩、醤油などをいれて煮つめたものを熱くして、生姜わさびを加えて、汁によくひたして食べると害がない。

 

36 魚・野菜の調理

大きな魚は脂肪が多くて消化しにくい。脾虚(脾臓の弱い人)の人は多く食べてはいけない。食べるときは、うすく切って食べると消化しやすい。鯛や鮒を大きな切り身、または丸煮で食べるのはよくない。

大根、人参、かぼちゃ、白菜なども大きく厚く切ったものは消化しにくいので、うすく切って煮ないといけない。

 

37 生魚の味つけ

 

生魚は味をよくつけて食べると、早く消化して体によい。煮すぎたり干して脂肪の多くなったもの、長時間塩漬けしたものなどは、よくない。

 

38 脂肪の多い魚はいけない

 

ひどく生臭くて脂肪の多い魚は食べてはいけない。魚の内臓は脂が多いので食べてはいけない。塩辛はとくに消化がわるく、痰を生じる。

 

39 さし身となますと

 

さしみや、まなす(薄く細く切った魚肉を酢に浸した食品)は、人によっては害になることがあるので、ひかえるようにする。冷え症のひとは温めてから食べること。なますは、老人や病人は食べてはいけない。消化しにくいからである。未熟なものや熟しすぎているのもいけない。

海老のなますは毒がある。うなぎに酢は消化が悪い。大きな鳥の皮や魚の皮は堅く脂肪が多い。これらは消化しにくく食べてはいけない。

 

40 肉類はひかえめに

 

日本人は胃腸が弱い人が多いので、肉類やゆで卵をまるごと食べたりすると、消化しにくいので多く食べてはいけない。野菜も大きく切ったものや丸煮にしたものはいけない。

 

41 生魚の塩づけ

 

生魚の新鮮なものに塩を薄くふり、天日にほして一両日(一日または二日)すぎて少しあぶり、薄く切って酒にひたして食べると、体に害はない。

 

42 味噌の働き

  味噌は胃腸の働きを助ける。たまり(味噌の上に溜まった液、醤油の一種)や醤油は、味噌よりあくが強い。嘔吐や下痢をする人にはよくない。酢は多くとってはいけない。胃腸によくない。ただし胃痙攣をおこす人には少しならいい。濃い酢は多くとるのは禁物である。

 

43 野菜の調理

   胃腸が弱く生野菜を避けている人は、ほした野菜を煮て食べないといけない。冬になって大根を薄く切って生のまま天日にほす。レンコン、ごぼう、山芋、うどの根などは薄く切って煮てからほす。

しいたけ、松露(担子菌類の食用きのこ、トリュフかも?)、いわたけなどもほしたほうがいい。

松茸は塩漬けがいい。ゆうがおは切って塩に一夜つけて、石のおしをかけたらほす。かんぴょうもよい。白芋(はすいも)の茎に熱湯をかけて天日にほす。これらは胃腸の弱い人にはいい。

枸杞(「くこ」、ナス科の落葉小低木)、五加(「うこぎ」、ウコギ科の落葉低木)、ひゆ(ヒユ科の一年草。インド原産で古くから栽培。)、菊、蘿も(「らも」、ががいも?、ガガイモ科の蔓(ツル)性多年草)(ちぐさ)、鼓子花の葉は、若葉のうちにとって、煮てほし、それを吸物とするか味噌であえものとして食べるのがよい。菊の花は生で干す。これらはひ弱な人によい。古い葉っぱは堅い。海菜は体が冷えるので老人やひ弱な人にはよくない。昆布を多く食べるのもよくない。

 

44 調理と栄養

 

食べ物の味が好みでないときは、自分の体のためにならない。かえって害になる。たとえ自分のために作られたものであっても、食べてはいけない。味が好みのものでも、お腹がすいていないいないときは食べてはいけない。食べ物をそまつにするのがいやなら、ほかの人に食べてもらえばいい。

宴会の招かれても、気のすすまない食べ物は食べないほうがいい。また味がよくても多く食べてはいけない。

 

45 節飲節食

   食欲を我慢するというのは、それほど大変なことではない。食事をとる短い時間だけ我慢すればいい。そして、ほんの少し食べる量を減らしさえすればいい。酒の場合も同じである。

 

46 脾胃の好む十一種

 

内臓に負担のかからないものとは、温かいもの、やわらかいもの、よく熟したもの、ねばらないもの、うす味でかるいもの、煮立てのもの、清潔なもの、新鮮なもの、香りのいいもの、成分のよいもの、味のかたよらないものである。これらは、身体の栄養となる。もちろん、これらのものであっても食べ過ぎはよくない。

 

47 脾胃の嫌う十三種

 

胃腸によくないものは、生もの、つめたいもの、堅いもの、ねばっこいもの、不潔なもの、くさいもの、生煮えのもの、煮すぎて香りをなくしたもの、煮たあと長く置いたもの、果物の未熟なもの、古くなって味をなくしたもの、味のかたよったもの、脂肪が多くてくどいものなどである。これらは、食べない方がいい。

 

48 暴飲暴食は胃の気をへらす

 

暴飲暴食を続けたり、間食ばかりしたり、冷たいものや体にあわない食事をすると、病気になる。嘔吐や下痢を繰り返し起こすようだと、胃の負担が増え、短命になる。用心することが大事である。

 

49 三味を少なくする

 

塩と酢と辛いものを多く食べてはいけない。これらを多く食べると喉が渇き湯を多く飲みその結果、湿疹ができ内臓の調子を悪くする。湯、茶、吸物は多く飲んではいけない。

喉が渇くものを食べたときは、葛湯のような粘っこいものを飲むといい。葛湯は粘っこく、本来はあまり薦められないが、やむなく飲むのである。

 

50 酒食のあとの注意

 

食べ過ぎたり飲みすぎたりしたときは、上を向いて休むといい。手で顔や腹、腰などをなでて胃腸を助けてやるのもよい。

 

51 食後の運動

 

若い人は食後、軽い運動をすればいい。でもきつい運動はよくない。老人も、自分にあった運動をすればいい。食後、同じ場所で座り続けたりすると、消化しにくいのでよくない。

 

52 脾胃の弱いひとに食物

 

胃腸の弱い人や老人は、消化のしにくい餅や団子、饅頭、冷えて堅くなったものは食べてはいけない。菓子なども控えめにするのがいい。体の調子によっては、それらのものはひどく害になるからである。夕食後はとくに食べてはいけない。

 

53 薬酒を飲む

 

昔の人は、寒い季節には毎朝、まろやかな薬酒を少し飲み、春が来たら止めるのがいいと言っている。そういう人もいるだろうが、焼酎で作った薬酒はよくない。

 

54 肉類は少なめに

 

肉や果物の味は、少し食べてもわかる。多く食べる必要はない。多く食べて、体を壊すよりも少なく食べてその味を楽しむ方がいい。

 

55 水の選択

 

水は清らかで甘いのを好むべきである。生まれた土地の水によって性質が変わるというくらいだから、水はよく選んで使用しないといけない。悪い水は、飲んではいけないし、茶や薬を煎ずる水はとくに清らからものを選ばないといけない。

 

56天水と雪どけの水と

 

雨水は成分がよく毒もない。(現代は、酸性雨などで違うかも)器にとって薬や茶を煎じるといい。雪解けの水はもっとよい。雨だれの水は毒がありよくない。たまり水も飲んではいけない。地下水でも元の水がたまり水ならよくない。井戸の水もたまり水が混入していてはいけないから、注意しないといけない。

 

57 熱湯を飲むな

 

湯は一度沸かしてから、それを冷まして飲む。沸騰していない湯を飲むのはよくない。

 

58 小食の効用

 

小食の人は、胃腸にゆとりができ、食べたものを十分に消化し体の栄養となる。そのため病気になることは少ない。

逆に大食な人は、胃腸に負担がかかり、食べたものを十分消化できない。そして病気にかかり、急死するひとがいる。大食は間違いなく短命のものである。やめないといけない。

繰り返して言うが、老人は胃腸が弱いから大食してはいけない。

 

59 過食と急死

   食べ過ぎた人は、生姜に塩を少し加えて煎じそれを多く飲ませ、たくさん吐かせるのがいい。それから胃腸の薬を服用する。ところが食べ過ぎの人を脳卒中と誤解して、脳卒中の薬を与えると、かえって害になる。食べ過ぎの人には、少量でも食事をとらしてはいけない。粘っこい重湯(水の量を多くして米を炊いた上澄みの糊状の汁)はとくによくない。一両日は絶食させてもいい。食中りを脳卒中と間違えやすいが、脳卒中の治療をしても食中りは治らないのどうしようもない。

 

60 飢渇のときの食事

   腹がへったり、喉が渇いたときに、たくさん飲食をするのは胃腸によくない。多く食べるのを我慢しないといけない。消化しきれないうちに次の食事をとるのもよくない。食欲がでてきてから次の食事をとれば、食べたものが十分消化され身体の養分になる。

 

61 温かいものをたべる

 

老人や子供は四季を問わず、いつでも温かいものを食べるのがよい。夏の時期や、若くて元気な人でも温かいものを食べるのがいい。生ものや冷たいものを食べてはいけない。胃にもたれやすく下痢の原因になる。冷水も多く飲んではいけない。

 

62 冷たいものをさける

 

夏期に瓜類や生野菜を多く食べたり、冷たい麺類を頻繁に食べたり、冷水を多く飲むと、秋になってから必ず病気になる。病気には原因がなければ起こらない。予防が大切である。

 

63 食後の口内を清潔に

   食後は湯茶で口を数回すすぐのがよい。口の中を清潔にし、歯にはさまったものを取り除くことができる。爪楊枝を使うのはよくない。夜は暖かい塩茶(番茶に塩を少し入れたもの。酔いをさます効果があるとされる。)をもって口をすすぐとよい。歯茎が丈夫になる。口をすすぐための茶の温度は中の下くらいのものがよい。

 

64 他郷での飲食

   人がほかの場所に行き水や土が変わり、その水土がなじまずに病になることがある。そうしたときは、豆腐を食べるとよい。

 

65 山中のひとは長命

   山の中に住む人は肉食をすることが少ないので、病気にかかりにくく長命である。海辺の魚肉を多く食べる人は、病気になりやすく短命である。

 

66 朝粥の効用

   朝早く粥を温かにやわらかにして食べると、胃腸によく、身体を温め、唾液ができる。冬期はもっともよいものだ。

 

67 香辛料

 

生姜、胡椒、山椒、たで(ヤナギタデおよびその一変種。特有の辛みを有し、幼苗を刺身のつまなどにして食用。)、紫蘇、生大根、生ねぎなどは、食べ物の香りを引き立て、悪臭を取り去り、魚毒を取り除き、食欲を増やす。それぞれの食品にあった香料をほどよく加え、毒をなくすのが肝心である。多く使用してはいけない。辛いものが多いと、元気がなくなり、喉が渇いてくる。

 

68 飯の味

 

朝夕の食事のたびに、最初の一椀のご飯は吸物で食べるのがよい。おかずを食べるのは、その後からでよい。そのほうが、ご飯の持つ本来の味を楽しめるからである。それにおかずの量が少なくてすむ。おかずを最初から食べると、ご飯の味がわからない。

これは養生の観点からいっても、よいことだし、経済的である。ご飯の味のよさを知るばかりでなく、消化もよく害にならない。

 

69 就寝前の注意

 

寝るときになって胃もたれになり、痰がでるようであれば、少し痰切りの薬を用いるのがいい。寝てからの痰は危険である。

 

70 点心は食べないがよい

 

日が短い時期、昼のあいだに点心(茶うけの菓子)を食べてはいけない。日が長い時期も多く食べないほうがいい。

 

71 夕食と朝食

 

夕食は朝食よりも少ないのがよい。副食も同様に少ないのがよい。

 

72 煮もののよしあし

 

煮物は、すべて煮えて柔らかいものを食べるのがよい。堅いもの、半煮えのもの、煮すぎて味のなくなったもの、口に合わないものなどは食べてはいけない。

 

73 宴会での飲食

 

家にいるときは、食べ過ぎたり飲みすぎたりすることに気をつけることができる。でも、招待された宴会などでは、料理の仕方や味が気に入らないことや、副食が多いためつい食べ過ぎてしまうことがある。客になったとしても、飲食の節度を慎まなければいけない。

 

74 食後の力仕事

 

食後すぐに力仕事をしてはいけない。急いで歩いてはいけない。また移動するのもよくない。

 

 

 

巻第四 飲食下

 

1 倹約と養生

   蘇東坡(蘇軾(ソショク)の別名、中国の昔の人)はいう。「早晩(朝夕)の飲食、一爵一肉(一ぱいの酒と一きれの肉)に過ぎず。尊客あれば之を三にす。へらすべくして、ますべからず。我をよぶ者あれば、是を以てつぐ。一に曰く、分を案じて以て福を養なう。二に曰く、胃を寛くして以て気を養なう。三に曰く、費をはぶきて以て財を養なう」と。これは、倹約と養生のふたつのためになる言葉である。役立てよう。内容は少し難しいけど、朝夕の食事は質素にして、客がきたら少し豪華にし、毎日を幸福に暮らし?、胃腸を大事にし、浪費することなく財をためる。という、内容だと思う。

 

2 一品の副食

   朝夕の食事には、副食は一品でよい。味噌の類か、塩辛か、あるいは漬物を一品付け加えてもよい。吸物は、裕福なひとであっても一つでよい。客に二つ用いるのは、もし一つ目が気に入らないとき、二つ目をすすめるためである。普段は、一つでよい。

中国のえらい人たちも、たとえ裕福な人であっても、副食は一つであった。

 

3 野菜の煮かた

   松茸、筍(たぶん竹の子のこと。)、豆腐などの味のすぐれたものは、それらただ一種類だけを煮て食べるのがよい。ほかのものと一緒に煮ると味が悪くなる。味が悪いと身体の養分にならない。

 

4 餠とだんごの食べ方

   餅や団子はできたてであっても、煮るか焼くかしないと消化に悪い。蒸したものより煮たものの方がやわらかく消化しやすい。餅は数日たってから焼いたり煮たりして食べるのがよい。

 

5 朝食と夕食

   朝食が油っこいものであったら、夕食はあっさりしたものにしよう。夕食が味のこいものであったら、次の日の朝食は少なめにするのがよい。

 

6 新鮮な食物

 

いろいろな食物があるが、すべて新鮮なうちに食べるのがよい。新鮮でないものには、体によくない。また煮すごして、香りの悪くなったものもよくない。

 

7 食物の陰と陽と

 

どんな食物も、時間がたつと悪くなる。悪くなった食物は食べてはいけない。穀物、肉類、魚、鳥の肉、野菜、すべて時間がたつとよくない。それらのものを食べると、胃腸を悪くする。水も汲んだ後、時間を置くとよくない。でも、天日にほして色が変わったものや、塩づけにしたものはそうでもない。しかし、乾物であっても気の抜けたものはいけない。

 

8 陰の食物

 

夏、暑いときに蓋をしたところに長く置いておいたものは、熱気のために悪くなる。そのようなものを食べてはいけない。冬、霜にうたれた菜や軒の下に生えた菜などは食べてはいけない。

 

9 瓜を食べるとき

 

瓜類は、涼しい風が吹くときや秋になり冷えた時期になったら食べてはいけない。夏の暑い盛りに食べるのがよい。

 

10 火毒

 

火で焼いたもちや肉は、熱湯に少しひたしたあとで食べるのがよい。そうしないと、唾液が乾いてしまう。また慢性の咽の病気によくなる。

 

11 茄子の性

 

茄子は、生で食べるといけない。煮たものでも、下痢や熱の高い病気のときなどは、とくに食べてはいけない。そのほかの病気のときは、皮をむいて切り、米のとぎ汁にひたして、一晩か半日たってやわらかく煮て食べれば、害はない。

葛粉は、水でこねてすじ状に切って、水で煮て、さらに味噌汁に鰹の粉末を加えて再び煮て食べる。下痢を止めて異を助ける。保養になる。

 

12 大根などの調理

 

胃の弱いひとは、大根、人参、芋、山芋、牛蒡(ごぼう)などを薄く切ってよく煮て食べるがよい。大きくしかも厚く切ったものや、十分に煮ていないものはみな胃腸を悪くする。一度うす味噌かうす醤油で煮て、その汁にひたして半日か一晩おいて、ふたたび前の汁で煮ると、大きく切ったものでも害がなく味もよい。

鶏肉や猪の肉などもこのようにして煮るのがよい。

 

13 大根の効用

 

大根は野菜の中でもっとも上等なものである。つねに食べるのがよい。葉っぱの堅いところをすててやわらかな葉と根とを味噌でよく煮て食べる。そうすると、脾臓(血液の生成、浄化作用をする臓器)をたすけて痰を取り去り、血液の循環をよくする。大根でも生のまま食べるのはいけない。が、食物のとどこおりのあるときは少し食べても害はない。

 

14 葉の調理

 

菜は京都では、はたけ菜、水菜の類であっても田舎ではそれを京菜という。いわゆる、かぶの仲間である。味は良いが体にはよくない。根は9月か10月に食べるのはかまわない。それ以外に食べるのは、体の弱った人には向かない。

 

15 果物の食べ方

 

いろんな果物や干し菓子などは、火に通して食べれば害はない。味もよい。まくわうり(メロンの一種、干せば嘔吐剤・下剤になる)は、種をとって蒸して食べる。味もよく胃にも害はない。熟した柿も甘柿も、皮とともに熱湯で温めて食べるのがよい。干し柿は、火にあぶって食べればよい。どれも胃腸の悪いひとにも、害はない。なしは、蒸して食べると多少よいが、胃腸の悪い人は食べてはいけない。

 

16 食べてよいものわるいもの

 

病状によって食べていいものと悪いものがある。だからよく考えて食事をしないといけない。また女性が妊娠しているときは、食べてはいけないものが多いので気をつけなくてはいけない。

 

17 豆腐の食べ方

 

豆腐は毒気がある。でも新しい豆腐を煮て味がよいものは、それに生大根のおろしを加えて食べるのなら害はない。湯豆腐のことだろう。

 

18 食事のとり方

 

前に食べたものが消化しないうちに次の食事をしてはいけない。

 

19 薬の服用と味つけ

 

薬を飲むときは、あまいもの、油っこいもの、獣肉、果物、もち、だんご、生もの、冷えたものなどは食べてはいけない。また、大食すると薬の効力が少なくなる。酒はほんの少しにひかること。補薬(衰えた精力を補うために用いる薬)を飲むときは、これらをさけるのがよい。とにかく薬を飲むときは、味の薄いものを食べ薬の効果をよくすることだ。

 

20 大根・山芋などの食べ方

 

大根、菜、山芋、芋、くわい(オモダカの球茎。)、人参、かぼちゃ、白ねぎなどの甘い菜は、大きく切って煮て食べると、体の調子が悪くなり腹痛を起こすことがある。薄く切ってたべるのがよい。または、辛いものを加えるか酢を少し加えるのもよい。再度、煮るのもよい。このようなものは、一時に多くを食べてはいけない。生の魚、脂ぎった肉、味の濃いものなども、同じである。

 

21 生姜と眼病

 

生姜を、8月、9月ごろに食べると、よく年の春に眼病になるという。(本当だろうか?)

 

 

22 温かいものを食べる

 

豆腐、こんにゃく、山芋、くわい、蓮根などを醤油で煮たものは、すでに冷えて温かでないものは食べてはいけない。

 

23 腹鳴りと朝食

 

夜明けのころ、腹がごろごろ鳴って、食物が消化しないで不快なときは朝食を減らすのがよい。肉や果物などは特に食べないほうがよい。こんなときは酒をのんではいけない。

 

24 飲酒のあと

 

飲酒の後、酒が残っているときは、もち、だんご、米麦など、干菓子、果物、甘酒、にごり酒、脂っこいもの、甘いもの、消化しにくいものなどは食べてはいけない。酒が体に回ってよくないからである。

 

25 鳥獣の肉と調理

 

鶏肉の堅い肉は、前日から醤油や味噌汁で煮て、その汁をもって翌日ふたたび煮るとかりに大切りの肉でもやわらかくなって味もよい。そして消化もよい。大根も同じである。

 

26 餠の薬用

 

餅を薄切りにして、山椒など加え味噌で長く煮たものは、脾臓の弱い人や下血(血便)をする病人にはよい。大切りにしたものはよくない。

 

27 果実の食べごろ

 

果実は熟したもの以外は食べてはいけない。果実の$J$+$K$OFG$N$"$k$b$N$b$"$k!#;3\%$N8}$rJD$8$F$$$k$b$N$OFG$,$"$k!#

 

28 怒りと食事

 

食事の前後に怒ってはいけない。また心配事をしたまま、または食後のあとに心配をしてはいけない。

 

29 消化と食事

 

いくら体にあった食物でも、それが消化しないうちに続けて食べてはいけない。

 

30 夜食の分量

 

長い冬、寒さを防ごうと夜食をとろうと思ったなら、夕食時、食事の量を減らしておく。夜に招待を受けたときなどは、夕食を減らしておく。そうすれば、身体にさほど害は少ない。食欲にまかせて腹いっぱい食事をしてはいけない。

 

31 湯茶の多飲をさける

 

塩分の少ない食事をしていると、喉がかわかない。そうすると内臓に湿気がたまらず、胃が元気になる。

 

32 中国・朝鮮の人と日本人

 

中国や朝鮮の人は胃腸が強いので、ご飯や肉類などを多く食べても害はならない。しかし日本人はそれらの人よりも身体が弱いので、穀物や肉類を多く食べると害になる。

 

33 空腹と果物

 

空腹時に生の果物を食べてはいけない。また菓子なども多く食べてはいけない。胃腸に負担がかかるからである。

 

34 労働と多食

 

労働してひどく疲れた直後、食事をとると眠たくなる。食後の睡眠は体によくないので、ひどく疲れた直後は食事をしてはいけない。疲労がとれてから食事にすべきである。

 

35 多飲、多食の患い

 

色欲は断つことができるが、飲食は絶つことはできない。それゆえ食欲に負け、大食することが多い。

 

36 病人の望みをかなえる法

 

病人がとても欲しがっても、食べて害になるものや冷水などは与えてはいけない。でも、飲み込まないで味だけを味わわせるのならかまわない。穀物、肉、吸物、酒などは味を楽しむものであり、飲み込まなくてもよいものである。冷水なども口のなかに留めておくなら、口中の熱を取り、歯茎を強くする。でも、飲み込まずに我慢できる人にしか、この方法はよくないだろう。

 

37 多食してはいけない食物

 

多く食べてはいけない食物は、次のようなものである。餠の類、だんご、ちまき、干菓子、ひやむぎ、麺類、まんじゅう、そば、砂糖、甘酒、焼酎、小豆、酢、醤油、鮒、どじょう、はまぐり、うなぎ、えび、たこ、いか、さば、ぶり、塩から、鯨、生大根、人参、山芋、菘根(青菜か蕪の根)、かぶら、脂肪の多いもの、味の濃いもの。

 

38 老人・虚弱者の食べてはいけないもの

 

老人や虚弱なひとが食べてはいけない食物。それは次のとうりである。いっさいの冷たい生もの、堅いもの、ねばっこいもの、脂肪の多いもの、ひやむぎ、冷たくて堅い餠、だんご、ちまき、冷えたまんじゅう、その皮、堅い飯、生の味噌、甘酒のつくりのよくないものと冷たい甘酒、鯨、いわし、しび(まぐろ)、かます、いろいろな果物などである。

 

39 食べてはいけないもの

 

誰でも食べてはいけないもの。それは生の冷たいもの、堅いもの、熟していないもの、ねばっこいもの、古くなって味の変化したもの、製法が疑問なるもの、塩からいもの、酢の多すぎたもの、煮たての味を失ったもの、臭いのわるいもの、色のわるいもの、味の変化したもの、魚肉の古いもの、肉の腐敗したもの、豆腐の古いもの、味のわるいものや煮たての味を失ったもの、冷たいもの、素麺に油のはいったもの、すべての半煮えのもの、灰汁の混じっている酒、酸味のある酒、時期でなく熟していないもの、すでに時期のすぎたものなどは食べてはいけない。夏期に雉肉を食べてはいけない。魚や鳥の皮の堅いもの、脂肪の多いもの、ひどく生臭いもの、魚の目が両方ちがうもの、腹の下が赤いもの、自然死した鳥で足が伸びないもの、毒矢にあたって死んだ獣、毒を食べて死んだ鳥、肉の干したもの、雨だれ水にぬれたもの、米びつの中に入れておいた肉、肉汁を器物に入れて気をとじ込めたものなどすべて毒がある。肉、干した肉、塩づけの肉、夏をすぎて臭と味のわるい肉などみな食べてはいけない。

 

40 食医の官

 

古代、中国に食医という官があった。それは食事によってすべての病を治すという。食事とは養生の基本である。薬はやむえないときにだけ使うものである。

 

41 同食の禁

 

いわゆる食い合わせてわるいものが多いので、ここに記して注意したい。

豚肉に、生姜・そば・胡すい(コエンドロ【coentro ポルトガル】セリ科の一年草。南ヨーロッパ原産の香味料・薬用植物。高さ三○~六○センチメートル。茎は細く直立、茎・葉ともに特異な香気があり、カレー粉・クッキーなどに用いる。葉は細裂した羽状複葉で、互生。夏、小白花を複散形花序につける。果実は小円形で、生薬の胡すい実(コスイジツ)として香味料または健胃・去痰(キヨタン)薬。コリアンダー。漢名、胡すい。)・炊豆・梅・牛肉・鹿の肉・すっぽん・鶴・鶉などがわるい。

牛肉に、黍(きび)・にら・生姜・栗などかいけない。

兎肉に、生姜・橘の皮・芥子(カラシ又は、がいし、カラシナの種子。)・鶏・鹿・かわうそ(日本にまだいるだろうか?)などがいけない。

鹿に、生の菜・鶏・雉・蝦(えび)などがいけない。

鶏肉と卵に、芥子・にんにく・生葱・糯米(もちごめ)・すもも・魚汁・鯉・兎・かわう

そ・すっぽん・雉などがいけない。

雉肉に、そば・きくらげ・胡桃・鮒・なまずなどがいけない。

野鴨に、胡桃・きくらげがいけない。

鴨の卵に、あんず・亀の肉がわるく、

雀肉にはあんず・あじ味噌がわるい。

鮒に、芥子・にら・飴・鹿・せり・雛・雉などがいけない。

魚鮓に、麦のあじ味噌・にんにく・緑豆(マメ科の植物)などがわるく、

すっぽんの肉にはひゆ菜(学名アマランサス、インド原産の一年草)・芥菜・桃・鴨肉などがわるい。

蟹に、柿・橘・なつめがわるく、

すももには蜜がわるい。

橙や橘にはかわうそ、

なつめには葱、

枇杷(ビワ)には熱い麺類、

楊梅(ヤマモモ)には生葱、

銀杏に鰻、

瓜類に油餠、

黍や米には蜜がいけない。

緑豆に榧(かや)の実を食べ合わせると死ぬ。

ひゆにわらび、

乾筍(ほしたタケノコ)に砂糖、

紫蘇(しそ)の茎葉と鯉、

草石蚕(ちょうろぎ、野菜の一種)に魚類、

なます(魚貝や獣などの生肉を細かく切ったもの。薄く細く切った魚肉を酢に浸した食品。大根・人参を細かく刻み、三杯酢・胡麻酢・味噌酢などであえた食品。などのこと)に瓜・冷水、菜瓜になますなどはいけない。

また酢につけた肉に髪が入っているのを知らずに食べると害になる。

麦のあじ味噌と蜂蜜とを同時に食べてはいけない。

越瓜(南越にとれた瓜。皮が白い)と酢づけの肉。

酒のあとに茶を飲んではいけない。腎をそこねるからである。酒の後に、芥子や辛いものを食べると筋肉や骨を悪くする。茶と榧とを一緒に食べれば身体がだるくなる。

日本の社会では、わらびの粉を餠にして、緑豆をあんにして食べるとひとを殺すという。またこのしろ(たなごに似た魚)を木棉子の火(木綿を燃やした火のことか?)で焼いて食べるとひとを殺すし、胡椒と沙菰米(「いさごまい」と読むのかな?判らない)を同時に食べるとひとを殺すともいう。

また胡椒と桃・すもも・楊梅とを同食してはならない。

またいう。松茸を米びつの中に入れておいたものを食べてはならない、と。

また南瓜をなますに合わせて食してはいけないともいう。

食べ合わせで、いけないものは結構あるものだ。

 

42 薬と食物

 

黄ぎ(マメ科の植物、強壮剤)を服用した人は酒を多く飲んではいけない。

甘草(同じくマメ科の植物、鎮咳、解毒剤)を飲んだ人は菘菜を食べてはいけない。

地黄(薬草)を服用するには、大根とにんにくと葱(ねぎ)の三つの白いものをさけること。菘は食べてもよい。

荊芥(シンケイ科の植物、発汗剤)を飲むときには生の魚をさける。

土茯苓(ユリ科の植物、利尿剤)を飲むには茶はよくない。

これらのことは守らないといけいない。結果がわかっているので、理由が分からなくてもこのことは守らないといけないのである。

 

43 肥料と食物

   すべての食物の中で、一番汚れているものは、畑で栽培された菜である。肥料として使っている、人糞(もう、使っていないところが多いと思うけど)で汚れているのだ。一夜、もしくは一日、水を張った容器にいれておき、よく洗ってから食べるのがよい。自然にできた菜や、瓜、茄子、ゆうがお、冬瓜などは汚れてはいない。

 

飲酒

 

44 酒は天の美禄

   お酒は、天から与えられた褒美である。ほどよく飲めば、陽気になり消化を助け、心配事から開放され、やる気を出す。しかし、多く飲めば害になる。たとえば火や水は人の生活になくてはならないものであるが、同時に火災や水害ももたらす。そういうものである。

酒を多く飲むと寿命も縮めてしまい、せっかくの天からの褒美も台無しである。

 

45 多飲の戒め

   お酒というのは、人によって多く飲める人と飲めない人がいる。少ない量で気持ちよくなる人は、多く飲む人より酒代が少なくてよく、経済的である。日々我慢をせず、多く飲むことが習慣になってしまうと、身を崩してしまう。慎まなければいけない。

 

46 食後の酒

   お酒は、朝夕の食後に飲むならば害はない。その間の空腹時に飲むと害になる。朝の空腹時に飲むのは、もっともよくない。

 

47 酒の温度

   お酒は夏冬に関係なく、冷酒や熱すぎるものはいけない。ほどよく温かいのがいい。冷酒は胃腸を悪くし、飲みすぎることが多い。熱いお酒は、気が高ぶりすぎる。

 

48 温めなおした酒

 

酒を温めすぎると味を失う。温めたものが冷めて、もう一度温めなおしたものは胃腸によくない。飲んではいけない。

 

49 酒のすすめ方

 

酒をすすめるとき、その人の飲める量を知らないときは、少しずつすすめる。あまり多くすすめると、飲む人の身体に害を与える。酒をすすめられると、普通より多く飲む人がいるので、飲む量は飲む人の判断にまかせるのがいい。

酒をすすめられる人も、いたずらに辞退するのではなく、程よく酔って、ともに楽しむのがもっともよいことである。

 

50 濁酒と醴酒と

 

市販のお酒に灰汁を入れたものには、毒がある。酸味のあるお酒も飲んではいけない。長い間保存した酒で、味が変わったものにも毒がある。

濁り酒は濃いものは、胃腸に長く留まるので飲んではいけない。混じりけのない芳醇な酒を朝夕の食後に少し飲むのがいい。甘酒は清潔に造ったものならば、すこし熱くして飲むと体を温める。製法の悪いものや冷えたものは飲んではいけない。

 

51 酒と命

 

長寿な人たちは、ほとんど酒をのまない。お酒を多く飲む人が長寿なのはめずらしい。酒はほろ酔い程度に飲めば、長寿の薬となるだろう。

 

52 酒と甘味

 

酒を飲むときは甘いものを食べてはいけない。飲んだ後、辛いものを食べてはいけない。人の筋骨がゆるくなる。酒を飲んだ後、焼酎を飲んではいけない。また同時に両方を飲んではいけない。

 

53 焼酎の飲み方

 

焼酎は毒があるから多く飲んではいけない。火をつけて燃えるのを見ても、熱を多く持っている。夏ならば、肌が多く露出しているので熱を逃がしやすいから、少しなら飲んでもかまわない。

焼酎を元につくった薬酒は多く飲んではいけない。鹿児島のあわもり、佐賀の火の酒は、焼酎より濃い。外国の酒も飲んではいけない。酒の性格がわからないからである。焼酎を飲んだあとは、熱いもの辛いものなどを食べてはいけない。冬に焼酎を飲んで、体を温めようとは思ってはいけない。焼酎を飲みすぎたときは、緑豆の粉、砂糖、葛粉、塩、紫雪などすべて冷水で飲むとよい。温かい湯で飲んではいけない。

 

飲茶 ならびに煙草

 

54 薬の効用

   かなり昔(大化改新または、大和朝廷の時代より以前)には、日本には茶というものは存在しなかった。中世(江戸時代より前くらい、と思う。)になり、中国から渡ってきた。そののちに、人々が味わい日用欠くことができない大切なものとなった。茶は、精神を落ちつかせ眠気をさますものである。昔の中国の医者たちは、人の体から油を抜き出すとして茶は良くないと言っていた。でも、今では朝から晩まで茶を飲んでいるが、身体に悪い影響はないようだ。しかし、だからといって一度にたくさんの茶を飲むのはいけない。抹茶は、茶の成分が強い。煎茶は、茶の葉を煎ったり煮たりするのでマイルドだ。日頃は煎茶を飲むのがいい。食事のあとに、熱い茶を飲み、消化を助け渇きを癒すのがいい。茶に塩を入れてはいけない。腎臓を悪くする。空腹のときは、茶を飲んではいけない。胃腸を悪くする。濃い茶を多く飲んではいけない。気持ちを沈ませるからだ。中国の茶は、煮ないで作るので成分が強い。虚弱な人や病弱の人は、新茶を飲んではいけない。眼病、情緒不安、下血、嘔吐、下痢などが起こりやすいからだ。新茶は正月頃から飲むのがよい。人によってはその年の9月か10月ころから飲んでもかまわない。新茶の毒に当たったら、香蘇散、不換金、正気散(感冒の薬)などを飲むといい。梅干し、甘草(マメ科の多年草、鎮痛・鎮咳剤になる)、砂糖、黒豆、生姜などを用いてもいい。

 

55 茶の冷と酒の温

   酒と茶とは、性格が反対である。酒を飲めば気が立ち、茶は気を落ち着かせる。酒に酔えば眠くなるし、茶を飲めば眠気はなくなる。

 

56 湯茶は多く飲むな

 

吸物、湯茶とも多く飲んではいけない。胃腸に負担がかかるからである。多く飲まなかったら、胃腸に元気が生まれ顔色がよくなり美人になる。

 

57 茶と水と

   薬と茶を煎じる水は、よいものを選ばないといけない。清らかで味の甘いものがいい。(軟水のほうがいい。)雨の中で清潔な器を使って雨水を集めるのもいい。地下から汲んだものよりいい。しかし、雨水は長時間その良さを保つことができない。もっともいいのは雪水である。

 

58 茶の煎じ方

 

茶を煎じる方法は、弱い火で炒って強い火で煎じる。煎じるとき沸騰した湯に冷水をさすと、茶の味がよくなる。湯が沸いたとき苡(じゅつだま)の生葉を加えると、味も香りもよくなり、茶の性質もよくなる。

 

59 奈良茶粥

 

大和の国(関西のことだろう)では、みな茶漬けを食べている。小豆、ささげ、そら豆、緑豆、陣皮(みかんの皮)、栗子、零余子(ヤマノイモの葉のつけ根に生ずる小さな固まり、養分の固まり)などを、使用している。茶漬けは食欲を増やし、胸のとおりをよくする。

 

60 煙草の害

 

たばこは天正(1573年)・慶長(1596年)年間の近年になって、他国から渡ってきた。「淡婆姑」は日本語ではない。

煙草は、毒である。煙を吸い込むと目が回り倒れることもある。習慣になれば害も少なくなり少しは益もあるといわれるが、害のほうが多い。病気になったり、火事になったりと心配ごとが増える。習慣になると、煙草をやめれなくなり家計にも負担をかけることになる。

 

慎色欲

 

61 色欲の自制

   若いときは、性欲が強く自制が必要だ。自制をしないと、腎を悪くし精気をなくし短命になる。食欲と性欲は、人の持っている欲望のもっとも強いものである。自制するのは難しいが、しないといけない。

自制しないで減った精気を取り戻すのに、薬や栄養剤に頼るのはよくない。

 

62 交接の回数と年齢

   男女の交接の周期は、20歳で4日、30歳で8日、40歳で16日、50歳で20日に一回である。60歳以上のものは、してはいけない。体力がある老人ならば一月に一回。

また人それぞれ体調や体力などがあるから、すべてこれが正解ではない。

また20歳までのものについては身体が成長していないので、回数が多いと身体に悪い影響がある。

 

63 情欲は若いときに慎む

   若くて盛んな人は、性欲を抑えて過失のないようにしないといけない。また、性交をよくするために、熱薬興奮剤などを用いてはいけない。

 

 

64 二十歳前後

   20歳までは、性交を慎まないといけない。

 

65 房中補益の説

   40歳を越えても、性欲の強い人がいる。このような人は、無理に性欲を抑えるとかえって害になる。かといって、慎みがなければ害になる。このような場合は、精気をもらさず交接するのがよい。この方法は害がない。

 

66 腎の働きと情欲

   性欲があるのに性交を行わないと、体に精気がたまりよくない。そのようなときは、入浴して下腹部を温め、体の気を循環させれば問題ない。

 

67 房室での禁止事項

   房室での禁止すべきことは多い。天変地異の災いは気をつけること。日蝕、月蝕、雷電、大風、大雨、大暑、大寒、虹げい(虹)、地震などのときは房事をしないのがよい。場所については、太陽の下、月・星の下、神社の前、先祖の墓前、聖人の像の前では、してはいけない。身体については、病気中、病後、心配ごとがあるとき、疲労したとき、空腹時、心が平静でないときは、いけない。また、冬至の5日前から、10日後まではいけない。女性の生理が終わっていないときも、いけない。胎教というものがあるが、これは房室の禁戒のあとのことである。妊娠するまえの決まり事も、守らないといけない。

 

68 房事と尿意

 

小便を我慢して、房事をしてはいけない。竜脳(樟脳に似た芳香があり、香料の調合原料或いは薫香・口腔清涼剤・防虫剤に用いる。)、麝香(香料の一種、薬の材料になる)などの薬を用いて、房室に入ってはいけない。

 

69 懐妊と夫婦関係

 

「婦人懐胎の後、交合して欲火を動かすべからず」と、中国の医学書「医学入門」に書いてある。

 

70 腎と脾と

   腎は五臓のもと、脾は滋養の源である。腎と脾は、体の中心である。草木の根のようなものである。大切にしないといけない。腎と脾が丈夫なら、身体も健康である。

 

 

 

 

 
 

  

 
     
 

Copyright(c) 2007中国コンサルタントサ一ビスセンター All rights reserved