法雨心荷 清淨本然

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養生訓

 

 

巻第五 五官

 

1 心は身体の主君

 

心は、体の主君にたとえられる。思うことを統率するものである。耳(聴覚)・目(視覚)・口(味覚)・鼻(嗅覚)・体(皮膚感覚、触・圧・温・冷・痛を感じる。)は、五官といい、心の従者である。

五官の情報を心で正しく理解するのが心である。

正しく考え理解する心は、常に安楽にして苦しませてはいけない。正しく理解できない心をもったら、身体は不幸である。暴君のいる国が不幸であるのと同じことである。

 

2 部屋は南向き

 

いつもいる部屋は、南向きで戸に近く明るいところがよい。陰鬱で薄暗い部屋に、つねにいてはいけない。気が滅入るからである。また、明るすぎる部屋も気分が落ち着かない。適度な明るさの部屋がいい。

 

3 東枕で寝る

 

寝るときは必ず東枕にする。北枕や、主君や父が近くにいるときは、そちらに足を向け寝てはいけない。

 

4 正坐

 

座るときは正座をする。楽にするときは、あぐらにしてもいい。膝をかがめているのはよくない。たまに椅子にすわるのもよい。

 

5 居室と家具は質素

 

いつもいる部屋の家具は、飾り気がなく質素で清潔なものがよい。居間は寒風を防いで、気持ちよく居られるようにする。家具は用がすめばよいのである。華美を好むと、際限なく奢りを生み、心を苦しめる。養生の道に外れてしまう。

すきま風があるときは、それを防がないといけない。寝室は、小さなすきま風も防がないといけない。病気の元である。

 

6 寝るときの姿勢

 

夜寝るときは、必ず脇を下にして体を横にして寝ること。仰向けはいけない。気が悪くなりうなされることがある。胸の上に手をおいてはいけない。悪夢をみることがあるからだ。

 

7 眠入るまでの軽い運動

 

夜、寝るときに寝入るまでは両足を伸ばしておくといい。寝入る時は、両足を曲げて横向きになり寝るのがいい。一晩に5度まで寝返りをうつのがいい。(できるんだろうか?)

胸や腹の調子が悪いときは、足を伸ばし胸部や腹部を手でなでる。気持ちが浮ついているときは、足の親指を盛んに動かすと気持ちがよくなる。人によっては、こういう方法であくびがでることがあるが、大きなあくびはしてはいけない。

眠りにつくとき口を下に向けていると、よだれがでるのでよくない。仰向けに寝るとうなされるのでよくない。両手の親指を曲げてこれをほかの四指で握って寝ると胸の上に手がいかないので、よい。これが習慣になれば、寝ていても指は開かなくなる。

寝る前は、痰を吐き出しておく。夜、寝る前に痰がでやすい食事をしてはいけない。老人はとくに、痰を止める薬を飲んでから寝るのがいい。

 

8 口を閉じて寝る

 

寝るときは、寝間着で顔をおおってはいけない。気持ちがうわついて、のぼせる。寝るときは、部屋を明るくしてはいけない。安静な気持ちで寝らねない。もし、暗いのがいやならば、薄暗い部屋にする。寝るときは口をよく閉じること。開けて寝れば、歯によくない。

 

9 按摩と指圧

 

一日に一回は、全身に按摩や指圧を受けるのがいい。

頭の頂上中心部、頭のまわり、両眉の外側、眉じり、鼻柱のわき、耳の内側、耳の後ろの順に指圧するのがいい。耳の後ろから、首筋の左右をもむ。左側を右手で、右側を左手でもむ。

次に、両肩、肘の関節、腕、手の十指をひねらせる。背中を押さえてたたかせる。腰や腎臓のある部分をなで$5$;$k!#6;!"N>F}!"J"It$r2?2s$b$J$G$5$;$k!#

次に、両股、両膝、脛の表裏(膝の下の部分)、足のくるぶし、足の甲、足の十指、足の心(足の裏側の土踏まずの中心)などを両手でなで、ひねらせる。

これらは、自分で行うのもよい。

 

10 導引

 

心は常に平静で、身体は常に動いているのがよい。一日中、座っていつと病気にかかりやすい。長い時間立ったり、長時間歩いたりするよりも、長時間、寝ていたり座っているほうが大いに害になる。

 

11 導引の方法

 

導引(道家で行う一種の治療・養生法)を毎日実行すれば、血行よく、消化を助け、気持ちを和らげる。朝、起きる前に、両足を伸ばし体の濁りを出す。起きて座り、頭を仰向かせて、両手を組み前方に付きだし上げる。歯を何度も噛み合わせ、左右の手をもって首筋を交互に押す。両肩を上げ、首を縮め、目をふさいで急に肩を下げる動作を三度ばかり繰り返す。

それから、顔を両手で何回もなでおろす。目がしらから、目じりに何回もなでる。鼻を両手の中指で六、七度なでる。耳たぶを両手で挟んで六、七度なでおろす。両手の中指を両耳に入れて、何回か耳孔をふさいだり開いたりする。両手を組んで、左へ引くときは頭を右に回し、右へ引くときは左に回す。これを三回。

それから、手の甲で左右の腰の上、胸のあばら骨のあたりを筋交いに10回ほどなで下ろす。両手で腰を指圧する。両手で腰の上下を何度もなで下ろす。こうすると、神経のはたらきがよくなる。両手で、臀部を軽く10回ほど打つ。腿をなで下ろす。両手を組んで、膝頭の下を抱え足を前に踏み出すようにし、左右の手を自分の方に引きつける。両足をもこのように何度も繰り返すがよい。

左右$NJ}$N$U$/$i$O$.$NI=N"$r?t2s$J$G2<$m$9!#JRB-$N8^;X$rJRB-$N?F;X$r6/$/0z$-$J$,$i!"$[$+$N;X$r$R$M$k!#$3$l$rKhF|B3$1$k$H$$$$!#

従者や、子供たちに教えて、ふくらはぎをなでさせたり、足心(足の裏側の土踏まずの中心)をこすらせるのもいい。足の指を引っ張らせるのもいい。

朝晩こうすると、気分が落ち着き足の痛みも治る。長く歩いた後は、足心(足の裏側の土踏まずの中心)をもむのがよい。

 

12 膝から下の健康法

 

ふくらはぎの表と裏とを、ひとの手を借りて何度もなでおろさせ、さらに足の甲をなで、その後は足の裏を多くなでて、足の十指を引っ張れせると、血行がよくなり気持ちを落ち着かせる。自分でするのもよい。

 

13 導引・按摩をしてはいけないとき

 

気持ちの落ち着いているときや、冬の時期は導引やあんまをしてはいけない。静かに歩行運動をするのなら、かまわない。食後にするのがいい。土踏まずの中央をなでるのもいい。

 

14 髪をすき歯をたたく

 

髪をすくのは多い方がいい。気持ちを落ち着かせるからである。櫛の歯で、刺激が強いものは髪の毛が抜けやすくなるのでよくない。

歯は、何度もかちかちと噛み合わせるのがよい。歯を丈夫にし虫歯にならない。両手をすりあわせて熱を持たせ、その手で両目に当てて眼を暖めるのもいい。視力がよくなり眼病予防になる。髪の生え際から額と顔とを上下になで下ろすのもよい。

両手を顔に当てると、気持ちを落ち着かせ顔色がよくなる。左右の中指で鼻の両側を何度もなでて、両耳の付け根をよくなでるのがいい。

 

15 早起きの効

 

午前三時~五時に起きて座り、足の五指を片方の手で握り、他方の手で土踏まずの中心をなでて熱くする。熱くなれば、両手で両足の指を動かすといい。

この方法は、従者にさせるのもよい。

毎日この方法をすると、足の病気にかからず、のぼせなくなり、脚を丈夫にして、立てなかった足をよくする。

 

16 腎の部分をなでる

 

寝るときに、子供に自分の手をこすらせて熱くさせて、その手を臀部に当てなでさせる。それから土踏まずの中心を十分になでさせる。自分でしてもよい。臀部の下部や上部を静かにたたかせるのもよい。

 

17 寝る前にすること

 

寝る前に、髪をくしでよくすき、湯で足を洗うのがよい。血行をよくし快適になる。寝る前に、熱い茶に塩を入れてうがいするのもよい。口の中を清潔にし歯を丈夫にする。このときに使用する茶は番茶で十分である。

 

18 目をつむって落ちつく

 

用がないときは、目を開けないほうがいい。

 

19 炬燵の用法

 

寝るときに暖房を使って体を温めるのはよくない。暖めすぎると、気がゆるみ、体がなまり、のぼせて、目を悪くする。中年以上の人は、弱い暖房で寒さを防ぐのならよい。でも、足を投げ出して温めるのはよくない。若い人は、暖房を使って寝てはいけない。

若い人は、寒さの厳しいときに暖房で体を温めてから、寝るのがいい。暖めすぎるのは健康上よくない。

 

20 厚着はよくない

 

厚着をして、暖房で体を温めすぎ、熱い湯の中に長く入浴をし、熱いものを食べすぎると、体の熱が外に逃げ出すほど、のぼせてしまう。これは、健康のとても悪いので気をつけること。

 

21 長時間坐る法

 

長い時間、人の前に座っていると、足がしびれることがある。そのときは、自分の足の左右の親指を何回も動かし、屈伸するとよい。

日頃から、両足の親指を屈伸させて、厳しく訓練しておけば、こむらがえりになる不安もなくなる。かりにこむらがえりをしても、足の親指を何度も動かすことにより治すことができる。気が立ちやすい人も、これをすれば落ち着く。

 

22 頭と火炉

 

頭を暖房器具の近くにおいては、いけない。のぼせてしまうからである。

 

23 風寒を防ぐ

 

寒い風が吹いていても薄着でいれば、身体は緊張し寒さを防ぐ。

 

24 めがねの使用

 

眼鏡は40歳を越えたら早くつけるのがいい。視力を保護する。眼鏡は国産の水晶で作ったものがいい。拭くときは絹製または毛製の布がいい。両指で挟んで拭くこと。ガラス製の眼鏡は割れやすいので水晶のほうがいい。ガラス製の眼鏡を拭くときは、絹製の布で拭くといい。

 

25 朝の衛生

 

毎朝、まず熱い湯で目を洗い温める。鼻の中をきれいにする。ぬるま湯で口中をすすいで前日からの汚れを出す。干した塩を使い上下の歯と歯茎を磨き、熱湯を使い十分すすぐ。すすいでいるときに、ぬるま湯で洗った布で顔と手を洗う。顔と手を洗い終えたら、すすいでいたものを桶にだす。それを濾過して塩湯で目を洗う。(衛生上、いいのだろうか?新たに作った塩湯の方がいいような気がする。)その塩湯で左右の目を15回くらい洗う。

そのあと、別の塩湯で目と口を洗い直し、口をすすぐ。毎朝、これをしておけば歯は丈夫で老年になっても歯は抜けない。視力も衰えず、老いても眼病にかからず夜でも細かい文字を読んだり書いたりすることができる。

貝原 益軒も毎日これを実行しているので、83歳になっても細い字を読み書きできるし、歯も一本も抜けていない。そして爪楊枝も使うこともない。(なんか自慢みたい)

 

26 歯の養生

 

歯の病は胃からくる。毎日、歯をかちかちと36回くらい噛み合わせると歯が安定して虫歯にならす、歯の病気にもならない。

 

27 歯を大切に

 

若いときに、歯が丈夫だといって堅いものを食べてはいけない。梅の種やヤマモモの皮などを歯で噛み砕いてはいけない。歯が抜けやすくなる。細字をたくさん書くと、目と歯が悪くなる。

 

28 楊子と歯

 

爪楊枝で歯の奥までさしてはいけない。歯茎$rDK$a$k$+$i$G$"$k!#

 

29 季節と朝起き

 

寒い時期はおそく起き、暑い時期は早く起きるのがいい。暑い時期だからといって、風に当たって寝てはいけない。また、扇などで風を受けてもいけない。

 

30 熱湯と歯

 

熱い湯で口をゆすいではいけない。歯を悪くする。

 

31 食後の横臥はわるい

 

食後は、手で顔をすり腹をなで、唾を飲みこむこと。軽い散歩をする。食後、横になると、病気の元になる。飲食して横になれば、心の病になる。

 

32 食後の衛生

 

食後は寝てはいけない。軽い運動と散歩をし、締め付けのない服装をしてくつろぎ、腰を伸ばして座り、両手でお腹、お腹の横を縦横になでる。両手で腰の横を10回ほど押さえる。そうすれば、消化を助け気を落ち着かせることができる。

 

33 七穴をとじておく

 

目、鼻、口は顔面にある五つの穴で、気が出入りするところである。それだけに気がもれやすい。多く気をもらしてはいけない。尿の出るところとは、精気が出るところである。過度にもらしてはいけない。肛門は便が出るところで、定期的に通事があるのがよく、不規則な下痢はいけない。これらの七つの穴は、かたく閉じておいて気を多くの気をもらさないようにしないといけない。耳は気の出入りがないが、長く音を聞いていると精神が疲れる。

 

34 火桶の用法

 

寝具の中に、暖をとるための火桶がある。京都の土製のものがいい。それを寝る前に寝具の中に入れておいて足を温める。のぼせやすい人は、火桶を早く寝具から出しておくといい。足が温まったら、火桶は外に足で出す。

翌朝、起きるときは再び足を延ばして火桶で温めるといい。懐炉のようなもので腰の下を温めると、早く温まる。急用なときは用意しておくといい。そうすれば、消化を助ける。これを知っている人は少ない。

 

二便

 

35 空腹と満腹のとき

 

空腹の時は、しゃがんで小便をし、満腹時は立って用をたすのがいい。(男だけだろうな)

 

36 二便の排泄

 

大小便は早くすませるのがいい。我慢はよくない。

小便を我慢すると、膀胱の病気になることがある。尿が出にくくなったり、回数が増えたりする病気になる。

大便を幾度も我慢していると、痔になる。大便をするときは、できるだけ力むことがないようにする。力むと、のぼせて目が悪くなり心臓にも悪い。自然にするのが一番いい。もし力むことがあれば、薬の服用して唾液を生じ胃腸を整えるようにする。麻に実、胡麻、アンズや桃の種子を食べるといい。

便秘になるものは、餅、柿、芥子などである。便秘がちな人はこれらを食べてはいけない。便秘はそれほど害はないが、小便が長く出ないのは危険である。

 

37 便秘を防ぐ

 

いつも便秘をする人は、毎日便所に行き、力まずに少しでいいから便通をつけることが大切である。こうすれば長く便秘になることはない。

 

38 二便をしてはいけない場所

 

太陽や月、星座、北極、神社に向かって大小便をしてはいけない。太陽の日差しや月明かりが照らしているところにも、してはいけない。天の神、地の神、人の神に向かってしてはいけない。

 

洗浴

 

39 入浴の回数

 

入浴は何度もしてはいけない。体が温まりすぎると、毛穴が開き汗が出て、元気を失うからである。十日に一回くらいがいい。浅めに湯を張り、短時間入浴すれば、のぼせることもない。熱い湯を肩から背中に多く流してはいけない。

 

40 入浴の心得

 

熱い湯に入るのは害になる。湯加減は、自分で確かめて入浴しないといけない。気分がいいと熱い湯に入ると、のぼせてしまう。眼病の人や体が冷えている人は熱い湯に入ってはいけない。

 

41 洗髪

 

夏でないときは、五日に一度髪を洗い、十日に一度入浴する。夏でないのに、しばしば入浴すれば、爽快であっても元気が少なくなる。

 

42 温湯と入浴

 

程良い加減の湯を少な目に張った浴槽に入り、肩から背中に湯を少しづつ短時間注げば、消化、血行をよくする。冬場は、体を温める。汗もかかないので、何度も入浴しても害はない。何度も入浴するときは、体をよく洗わない。ただし、下部はよく洗う。長い入浴をして体を温めすぎてはいけない。

 

43 入浴と洗髪

 

空腹時に入浴してはいけない。満腹のときに洗髪してはいけない。

 

44 たらいの大きさ

 

浴槽の大きさは、縦87センチ、横60センチ、深さ40センチがいい。底板は厚いものがいい。杉材を用いるのがいい。冬は風よけがあるのがいい。(室内の場合、必要ないだろう。)湯は、18センチ以上張ってはいけない。夏は特に浅いほうがいい。

湯を深く張り、熱くすると、のぼせて汗をかく。体に害をおよぼす。湯がぬるいときは、温かい湯を加えるといい。または、沸かし直すといい。(今は、簡単に温度を保てる浴槽があるので便利になった。)

 

45 胃腸病と入浴

 

下痢や消化不良、腹痛の時に入浴すれば、体が温まり身体によい。病気の始まりなら、薬を飲むよりよい。

 

46 傷と入浴

 

小さな傷があるときに、熱い湯に入ったのち風にあたると、身体に熱がこもり傷から熱が発生し、小便がでなくなり、傷の部分が腫れてくる。この症状は危険で死ぬこと$bB?$$!#$"$D$$Er$KF~$C$?$H$-$O!"Iw$K$"$?$i$J$$$h$&$KCm0U$,I,MW$@!#

俗に、風をあびると体が冷えると思われるが、逆に身体が緊張して熱が逃げにくくなるのだ。

 

47 入浴後は風に当たるな

 

入浴後、風に当たってはいけない。風に当たったときは、手で皮膚を摩擦するのがいい。

 

48 女性の生理と洗髪

 

女性は生理が始まったら洗髪してはいけない。

 

49 湯治

 

温泉は全国各地に多くある。しかし病気によっては、温泉に入っていいものといけないものがある。良くも悪くもない温泉もある。

打ち身、落馬、高所から落ちての打撲傷、伝染性の皮膚病、刀傷、腫れ物でなかなか治らないものには、湯治はよく効く。

中風(半身の不随、腕または脚の麻痺する病気。脳または脊髄の出血・軟化・炎症などの器質的変化によって起るが、一般には脳出血後に残る麻痺状態。古くは風気に傷つけられたものの意で、風邪の一症。)、筋肉の引きつり、けいれん、手足のしびれ、麻痺などもいい。

内臓の病気には、湯治はよくない。しかし、鬱病、食欲不振、血気が悪いとき、冷え性などは、温泉で体を温めるといい。でも、傷などの場合のように速効で効くのではないから、軽く温泉に入るのがいい。また、入浴しても変化のない場合は、入らない方がいい。

発汗症、心身が衰弱、熱病などの場合は入浴してはいけない。これが元で、死んだ人も多い。注意しないといけない。

入浴は、どんな病人でも一日3回までにする。衰弱した人は1回か2回でよい。健康な人でも長湯はいけない。浴槽の端に腰掛けて、湯を体にかけるくらいでいい。長湯して、汗を出してはいけない。毎日、軽く入浴して早めにあがるのがいい。

温泉は、一週間か二週間くらいがいい。温泉の湯を飲むのは害がある。多く飲んだために死んだ人もいた。

 

50 湯治と食物

 

湯治しているあいだは、体を温める食事をしてはいけない。大酒、大食もいけない。たまに散歩をし、軽い運動をし、消化を助ける。湯治中に性交をしてはいけない。温泉から帰ってきて10日くらいの間もよくない。

湯治の間は、灸の治療をしてはいけない。10日くらいは補助役を飲むのがいい。その間は、魚や鳥の刺激の少ないものを、すこし食べるといい。湯治したあとに、養生を忘れては、湯治の意味がなくなる。

 

51 入浴と水

 

海水の湯で入浴をすると、発熱しやすい。井戸の水か川の水で、海水を半分に薄めて使うといい。

 

52 汲み湯の効果

 

温泉のある場所に行けない人は、温泉の湯を取り寄せて、入浴すればいい。このことを汲湯という。冬は、温泉の成分が変わらないから多少効果がある。夏場は成分が抜け水が腐ることもあるので、普通に近くの清水を使った方がいいともいわれる。

 

 

 

 

巻第六

 

慎病(病を慎む)

病は生死のかかる所、人身の大事なり。

聖人の慎みたまうこと、むべなるかな。

 

1予防医学

 

健康な時から、病気になったときの苦しみを思い、身体を守るように心がけることが大事である。

病気になっているときのことを思い出し、病気でない今、自制し我慢をすれば病気にかからない。薬や、鍼、灸などに世話になるより、病気にならないのが一番である。

 

2 無病のときの心がけ

 

病気にかかるまえに、予防をしておけば病気にはならない。病気になってから薬を飲んでも、なかなか治らない。小さな欲望を我慢しておけば、大病にかからない。大病は、辛いものだ。つらい大病のことを思えば、病気にならないように予防するのが大事である。

 

3 病気がよくなるとき

 

病気がよくなっているときは、気持ちいいものである。それで気がゆるむと、病気は治るどころか重くなってしまう。病気が少しよくなっていているときも、用心が大事である。後で、後悔しても遅いのである。

 

4 一時的な快方

 

一時的な幸福の後には、必ず不幸がやってくる。

 

5 はじめの養生

 

病気になると、心身とも苦しい。医者を呼び、薬を飲み、鍼・灸をし、酒をやめ、減食し、いろいろと悩みながら治療をしないといけない。それを思えば、病気にならないように自制しておけば、このような苦しみを味わうことはない。万事、はじめに注意すれば後で悔いはない。ということである。

 

6 欲を慎む

 

食欲、性欲の思うままにし、衣食住を考え、暮らしていれば病気にならない。自制しないで気ままに暮らし、病気になれば薬や食事に気を使っても、それはいい生活ではない。

 

7 養生を守ってくよくよしない

 

養生の道を守っていれば、健康について悩まずに暮らすことができる。悩みのある生活は、病気をまねく。万一、養生を心がけていても病気になり、死ぬことがあるときは、それが運命であったと思えばいい。運命をなげいてもしかたないものだ。

 

8 あせらず自然に

 

病気を早く治そうと無理をすると、治る病気も治らない。あくまで自然に治るのが一番である。病気以外でも、万事あわてると、よくないのである。

 

9 湿気に注意

 

暮らしている場所は、常に快適にしておくべきだ。風や暑さ寒さは、すぐに身体に悪い影響をあたえる。これに対して、湿気はすぐに身体に影響がない。しかし、身体に重い病気をまねくことがある。そして、治りにくい。注意しないといけない。

湿気のある、川辺や低地で水辺の場所からは離れて暮らすことである。床も高い方がいい。そして、住んでいるところも風通しのよいようにしておくのがいい。

文禄の朝鮮の役(文禄一年千五九二年)のときも、戦死者よりも疫病で死んだもののほうが多い。兵士たちのいた兵舎が寒さ、湿気を防がないからであった。

住んでいる場所は、高くて乾燥しているのがいい。酒や茶、湯水を多く飲んではいけない。瓜、果物、冷たい麺類は多くとらない。身体の内側にも湿気は害がある。多くとると、マラリア、熱病、下痢などになりやすい。用心することだ。

 

10 外邪と傷寒

 

チフス性疾患は、重病である。病気の中で、もっとも怖い病気である。若くて元気な人でも、チフス性疾患にかかれば死ぬことが多い。感染しないように、いつも注意していなければいけない。発病したら、すぐに十分な治療をしないといけない。

 

11 酒と中風

 

中風(半身の不随、腕または脚の麻痺する病気。)は、体内が悪いことから発生する。色白で太った人、元気のない人、40歳を越えて元気が少なくなった人、悩み事があり酒を多く飲む人や多食する人、酒を多くのみ胃腸を弱めている人などは、体内が弱くなっているのでかかりやすい。中風にかかると、手足がふるえ、身体が麻痺してしびれ、喋れなくなる。これは、元気が少なくなったからおこることである。若くて元気な人は、この病気にはかからない。

若くても、たまにこの病気にかかることがある。その人は、肥満で元気がなく酒を多く飲む人である。

この病気は、酒の飲めない人にはほとんどいない。飲めない人がかかるとすれば、肥満や元気のない人である。このような人は、常日頃から注意しておくべきである。

 

12 春の余寒

 

春になり暖かくなると、冬に引き締まっていた肌が柔らかくなる。肌に緊張がないときに、寒さが戻れば風邪をひきやすい。草木の芽も寒風に弱いことからわかるように、体を動かし血行をよくし、元気をたもたないといけない。

 

13 春の冷水

 

夏は汗をかき、肌が風にさらされると熱をたくさん奪ってしまう。涼しい風に長く当たっていては、病気になりやすい。入浴したあとなどは、風にあたってはいけない。

夏に食べた食物は消化が悪いので、あまりたくさん食べてはいけない。食べるものは、温かいものがいい。冷たい水、麺、生ものなどを多く食べてはいけない。

虚弱者は、嘔吐や下痢に気をつけないといけない。冷水を浴びてはいけない。冷水で顔を洗うと、目を悪くする。冷水で手足を洗ってはいけない。

睡眠中は、扇などで風にあたってはいけない。夜、外で寝てはいけない。

外に長く座り、夜露にあたるのは害になる。酷暑のときでも、涼しすぎることはいけない。日に長くさらされた熱いものの上に座ってはいけない。

 

14 純陽の四月

 

四月は春らしい月であるが、色欲は慎まないといけない。雉や鶴(今も食べているのだろうか?)などは、食べてはいけない。

 

15 夏期の養生

 

夏は四季の中で一番、健康に気をつけないといけない。日射病、あつさあたり、食べ過ぎ、嘔吐と下痢、熱をともなう下痢などにかかりやすいからである。冷えた生ものはひかえて、用心するといい。夏に、これらの病気にかかると元気を失い衰弱してしまう。

 

16 夏期と薬

 

6月、7月の酷暑期は(多分旧暦のことで、現在の7月8月のことだろう)、厳冬のときよりも元気が消耗しやすい。注意しないといけない。漢方薬を長く服用して、消耗を防がないといけない。この季節は、薬を用いて健康を保つようにしないといけない。ここで言う薬というのは、栄養補強剤のようなものである(多分?)。

 

17 夏の古井戸

 

夏の季節に、古い井戸や深い穴に入ってはいけない。毒性のガスが発生しているかもしれないからである。もし入らないといけないのなら、鶏の羽を投げ入れて毒性のガスがあるかないかを調べる。羽が舞うように落ちるときは、毒性のガスがある可能性があるので入ってはいけない。火のついたものを、井戸や穴に落としてから入るといいかもしれない。夏至に井戸の水を入れかえるのを忘れてはいけない。(今も入れかえている所があるのだろうか?)

 

18 秋の衛生

 

7月、8月になっても残暑が厳しく(多分旧暦で、現在の8月、9月のことだろう。)、夏になり緊張を失った肌はそのままである。秋風によって、肌が痛められることがあるので、用心しなければいけない。病人は、8月になり残暑もなくなっても(現在の9月だろう)、所々に灸ををして風邪を予防し、元気をつけ、淡や咳の病気にかからないようにしないといけない。

 

19 冬と衣服

 

冬は寒く暗く、身体の活動的な部分が弱くなる。体の中の元気な部分を大事にしなければいけない。体を温めすぎて、のぼせ、元気な力をなくすようなことがあってはいけない。衣服も温めすぎるようなことがあってはいけない。厚着をして、暖房を効かせすぎたり、熱い湯に入浴してはいけない。仕事をがんばり汗を出して、元気を消耗させてはいけない。(でも、仕事はいつもがんばらないといけないので、つらいところがあると思う。)

 

20 冬至と静養

 

冬至を過ぎてから、だんだんと春の陽気が近づいてくる。初めは小さな陽気だが、大事にしないといけない。冬至の日は、仕事は休んでゆっくりとするのがいい。冬至の前5日間と後10日間は、性交は控えるほうがいい。灸もしないほうがいい。

 

21 冬期の鍼・灸

冬期は急病でないときは、鍼・灸はしないほうがいい。12月はもっとも悪い。あんまもよくない。自分で静かに、導引(5巻11章を参照)をするのは害はない。強く荒い導引はいけない。

 

22 大晦日の行事

 

大晦日の日は、大掃除をし、朝まで家の明かりを消さず、家族でなかよく過ごす。目上の人に礼の言葉をいい、家族で「とそ」を飲み、旧年を送り新年を楽しく喜びをもって迎える。これが、守歳(除夜、夜明かしをすること)である。

 

23 発汗と風と

 

熱いものを食べて汗がでてきても、風に当たってはいけない。

 

24 負傷の手当て

 

高いところから落ちたり、木や石におし倒されたりしてできた傷のところには灸をしてはいけない。薬を飲んでも効果がないからだ。

武器によって傷つき出血多量になった人は、のどが渇くものだが、水や粥を与えてはいけない。粥を飲むと、血が沸きだして必ず死んでしまう。

刀傷・打撲・骨折・口の開いている傷には、風をあててはいけない。硬直・けいれんを起こす病気になったり、破傷風(高熱をともなう病気)になる。

 

25 冬の遠出

 

冬、朝早くから遠出をするときは、酒を飲み寒さを防ぐのがいい。空腹で寒風にあたってはい$1$J$$!#

 

26 雪中での冷え

 

雪の中を歩いてひどく冷えたときに、熱い湯で足をぬくめてはいけない。火にあたってもいけない。熱いものを食べても飲んでもいけない。

 

27 頓死を防ぐ

 

急死の病気は、脳卒中・中風(6巻11章を参照)・ガス中毒・中毒・あつさあたり・凍死・火傷・食あたり・日射病・破傷風・喉頭ジフテリヤ・肺水腫・失血・打撲・小児のジフテリヤなど多い。

五絶というものもある。首をくくる縊死(いし)、圧死、溺死、就寝中の急死、婦人の難産の死である。

日頃から、これらの病気や傷害に備えておき、慌てないようにする。

 

28 奇異なことに迷わず

 

世間でいう不思議なことや奇異なことは、目の前で見たことでも、鬼や神の仕業ではない。人には精神病や眼病がある。このような病気にかかっているものには、実在しないものが見えることがある。このようなことを、聞いて信用してはいけない。

 

択医(医を択ぶ)

 

29 良医を選ぶ

 

病気に注意するだけでなく、病気にかかったときにお世話になる医者にも注意が必要である。大事な両親や自分を、やぶ医者の任せるのは危険なことである。医療を詳しく知らなくても、医術の大意を知っていれば、医者の良否はわかる。書画がうまくなくても、基本的な技術を知っていれば、書画の善し悪しがわかるようなものだ。

 

30 医者の世襲はいけない

 

医者は、人を救う職業である。自分の利益のためにする職業ではない。医療の技量が悪いと、患者を危険な目にあわす。医者は学問ができ、才能ある人がする職業である。それらができないとわかれば、医者を志してはいけない。他の職業をさがすべきである。

医者の世襲は、子孫に才能があればいいが、なければよくない。

 

31 儒学と医学

 

医者を志すものは、儒学の本を学び理解することが必要である。儒学の本が理解できないのであれば、医学の本を理解することはできないだろう。学問がなければ、医学以外のいろいろな技術も学ぶことができない。

儒学の理論をもって医学も理解しないといけない。

 

32 良医と福医と俗医

 

学問を習熟し、医学に精通し、医術に心をくばり、多くの病気を診察し、経過を見ている医者は良医である。医学を好まず、医道に精進せず、医学の本を読まず、読んでいても理解しない、新しい説に耳を傾けない医者は、いやしい職人である。医学と治療は別のものだと言い、権力者にこびを売ることで医者になったものは、福医または時医という。才能も徳もないが、運がよくて財産を築いたものと同じ人である。そのような医者を良医だと思ってはいけない。医術も疑わしいからだ。

 

33 医道に精進

 

医学の本を多く読んでも、雑で思考・工夫がなく、治療がまずいのは、悪い医者である。医学を学んでいないのと同じである。また、医学の本を多く読まなければ、医術に精進もできないでの、良医になれない。

 

34 君子医と小人医

 

医者になるならば、君子医といわれる医者になるべきだ。小人医になってはいけない。

君子医とは、人を救う人のための医者である。小人医とは、自分の利益のために医療を行い、人を救うための医療を一番の目的としていないものである。

医者とは、人を救うべき職業である。身分や貧富の区別なく、誠実な治療をするべきである。人命にかかわる職業であるから、病人をおろそかにしたり、のんびりとしてはいけない。身分が低いとか貧乏だからといって、病人をおろそかにする医者とは、医者の意味をなくしたものである。

 

35 医者・利養・治療

 

医者は、利益をかえりみず人を救わないといけないというのは、そのとおりである。しかし病人にたいし誠意をもって医療行為をすれば、自然と利益は得られるものである。

 

36 医術の工夫

 

医者になった人は、家にいるときは常に医学の本を読み理解しないといけない。病人を診察すれば、病人の症状を医学の本を参考にし、細心の注意をもって薬を処方しないといけない。病人を引き受けたなら、他のことに気がそがれることなく、治療に専念することである。医者とは常に医学を専心に学ばなければ、医業は進歩しないのである。

 

37 医術の心得

 

医者でなくても、薬の知識をもっていると、養生の点から人を助ける役にたつ。しかし本業でないから、病人には良医を紹介するのがいい。急をようする病人や無村医などでは、救急用に薬を処方することができれば人の役にたてるから、ひまな時間があるなら医学の本を読んでおくことはいいことである。

医学を知らないので医者の良否がわからずに、やぶ医者を選んでしまい、間違った治療のために死んでしまった例は多い。(現在もこういう例はあると思う。)怖いことである。

 

38 良医は医学十年の労を積む

 

どのような身分のもとの子供でも、その子供に才能があるのなら医者を目指すための環境を整えてやることだ。儒学の本を読ませ基礎的な学力をつけさせ、医学の本を学ばせる。名医のもとに10年間、入門させ医学を学び医術を学ばせる。医学と臨床実習を合わせて20年もすれば、かならず良医になれる。

そうすれば自然に名声が高くなり、地位の高い人や立派な人に招かれ、人々から敬愛され、信用を得て報酬も多くなる。生涯、ゆたかに暮らせるだろう。このような医者は、国家の宝である。

どのような身分のものでも良医を目指すのであれば、早く出世できるのである。

それと反対に、簡単な医学の本を少し読み、薬の知識も少ないが、見た目や、もっともらしい動作のみで病人と接し、口先だけで地位や財産を持つものに近づいていく医者は、生涯とるに足らない医者で終わるであろう。こうしたつまらない医者は良医をけなすことが多く、卑劣で、人の生命をあずかる医者としては最悪なのである。

 

39 俗医の学問嫌い

 

俗医とは、医学を嫌って学ばない。簡単な医学の本を読み、薬の処方を40から50くらい覚えると、病人の扱いに慣れてくれば、通常の病気を治療するのは上手である。医学の本をよく読んでいても、病人の扱いになれていない医者よりも優れている。

しかし俗医は、診断を間違うことがある。診断に困るような病気や奇病には、力を発揮できない。(俗医を悪いと決めつけるのは難しいと思う。簡単な治療をもとめるのであるなら、かえって俗医のほうがいい場合が多いのは確かだろう。)

 

40 医者を志す人

 

医者になる人は、まず志をたてる。ひろく人を救済するには、どのような人$KBP$7$F$G$b@??4@?0U$H$j$+$+$i$J$$$H$$$1$J$$!#0e3X$r3X$S!"0e=Q$K@:DL$9$l$P!"L5M}$K$X$D$i$C$?$j!"@$4V$K$b$H$a$J$/$F$b!"?MK>$O<+A3$KF@$i$l$k!#$=$&$9$l$P!"$+$.$j$J$/9,$;$G$"$m$&!#

自分の利益を求めるのを目的としたら、人を救う気持ちもなく、信用もなくすであろう。

 

 

41 貧者と愚民と

 

貧しい人は医者にかかることができずに死ぬが、愚かな人はやぶ医者に誤診されて死ぬものが多い。

 

42 医術と博学であること

 

医術は、医学書をたくさん読み考えないと、上達しない。精密に理解しないと、医術を極めることはできない。博学と精緻とは医学を学ぶためには必要である。医学を学ぶ人は、志を大きく持ち、医術の細かいところまで理解しないといけない。

 

43 日本の医学と中国の医学

 

日本人の医者が中国人に及ばないのは、学問をする努力が負けているからだ。とくに、近世(貝原益軒の生きていた時代)は日本語の治療書が多くあるので、難しく古い中国語の治療書を読まなくなってきた。これでは、日本人の医者の技量が悪くなる。原因としては、仮名文字ができたから難しい漢書を読める人が少なくなったから、と思える。

 

44 医学なき医術

 

医学の本をいくら読んでも、下手な医者はいる。まして医学の本を読まないで上手な医者になれるはずはない。

 

45 医者は仁の心をもつ

 

医者は、慈愛の心をもって仕事をしなければいけない。名誉や利益を求めてはいけない。重病で薬の効果がないとわかっていても、気休めかも知れないが薬を多く与えて安心させるべきである。病人を失望や落胆させてはいけない。

 

46 古法を重んずる

 

医学を学ぶには、昔の方法を理解し学び、昔の治療法を参考にして工夫するのがいい。また時代にあった治療法や、人や場所による治療をし、名医の治療法を参考にすれば間違いは少ない。

昔のことを無視するのも、現在の治療法を無視するのも、ともによくない。温故知新と言う言葉にもあるとおりだ。

 

47 投薬の適中と偶中と

 

良い医者ならば、病気にあった薬を投与してくれる。悪い医者の、たまたま投与した薬が病気に効果があったとしても、それは運が良かっただけで、普通は病気にあわぬ薬を投与されることがほとんどである。

 

48 医者と時勢

 

医者になろうとするものは、運やタイミングがよくて医者になったものを、うらやましく思ってはいけない。名誉や財産をそのように築いたとしても、その医者たちの多くは、悪い医者であり、医術はすたれていくのである。

 

49 みな医術を学ぶがよい

 

いろんな技術や芸には、日常の生活において無益なものが多い。ただ、医術だけは無益なものはない。医学生でなくても、医術を少しは学んでおくことだ。儒教を学んでいるものは、世の中のことを何でも知っておかないといけない。それゆえに、医学を学ぶものは、儒教の教えを学ばないといけない。

医術を知っていれば、自分の養生やまわりの人たちにとっても有益である。いろいろな技能の中で、もっとも役にたつものである。

しかし、専門の医学生でないから、むやみに薬などを用いてはいけない。

 

50 医学生と医書

 

医学の本は『内経』と『本草』を基本にする。前者が、医術・病気のことについての本。後者が薬についての本である。それ以外にも、たくさんの医学の本を読まなければいけない。

 

51 『千金方』は医の良書

 

『千金方』とは、孫思ばくという古い時代の名医が書き残した本で、養生の方法や治療法が記してある。これは大いに参考にすべきである。たまに間違ったところもあるが、すばらしい点のほうが多い。孫思ばくが、100歳を越える寿命を持ち得たのも、養生の術に長けていた証拠であろう。

 

52 日本の医書刊行

 

日本で最初に認められた医学の本とは『千金方』であった。1582年に印刷され始めた医学の最初の本は、『医書大全』である。1629年以降、一枚板に刻んで印刷した医学の本が増えてきた。

 

53 医書の選択

 

いろいろな医者の書いた書物には、短所や長所な内容がたくさんある。だから、一人の書いたものばかり読まず、たくさんの本を読み、いいところを参考に、悪いところは除外しないといけない。そのようにして、編纂した医学の本は社会の宝となる。

医学の本には、同じような内容の本が多い。無用なことが書いてあるものも多い。それらを読むのは無駄なことになることが多いから、疲れる。それらを無駄なく要点だけを集めた本を作ることのできる才能を持った人は、世間にかならずいると思う。(これは、貝原益軒自身のことを言っているのではないか。そうだとすれば、自分で自分を誉めているようで、茶目っ気がある。)

 

54 医書の長短

 

『局方発揮』が出版されてから、古い『和剤局方』が見られなくなった。『和剤局方』は、古い医学を学ぶ上で役に立つから捨ててはいけない。しかし、烏頭(薬にもなるが毒)・附子(婦人のお歯黒に使う)を多く紹介しているので、そこはよくない。

いろいろな医学の本があるが、時代にあったものは取り入れ、時代に合わなくなったものは採用しないようにする。

 

55 他医をわるくいわないこと

 

前の医者が間違った治療をしていても、それを攻めてはいけない。他人をおとしめて自分を誇示するのは、悪い癖で人から軽蔑される行為である。

 

56 薬の選択

 

昔の人の説にはいろいろあり、一定でない。病人にあわせた治療、投薬、食事を選んで使用すべきである。だから、昔の人の説を一概に悪いと決めつけるのはよくない。

 

57 医術の三要点

 

医術は学ぶことが多い。要点は三つある。

病理学、診断学、治療学である。運勢や血管の道筋も次に大事である。

あと、名医の諸説も大;v$G$"$k!#

薬の処方や、病人の食物の取り方、健康な人の病気への予防なども知っていること大事である。

 

58 上医・中医・下医と薬

 

病気になっても医者にかからないのは、中医にかかっているのと同じだ。病気になれば、上医(技術のすぐれた医者)に薬を服用してもらわないといけない。最近は上医が少なく、薬を服用してもらう医者がいないから、医者は無用だと思われている。しかし、それは間違いである。簡単な風邪や咳などの症状ならば、上医でなくても誤診せず正しい薬を服用できるのである。また、そのような時に使う薬は、間違って服用してもあまり害はないであろう。

 

 

  

 

 

 
 

  

 
     
 

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